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リティンパによる鼓膜閉鎖術

当院では慢性穿孔性中耳炎や鼓膜穿孔の患者さんに、傷の治癒を促す薬剤(トラフェルミン、製剤名リティンパ)を用いた鼓膜穿孔閉鎖術を行なっています。

鼓膜穿孔は中耳炎や外傷などで鼓膜に穴が開いてしまう疾患です。鼓膜に穴が開いていると、難聴になり、時に耳だれがでることがしばしばあります。治療として、従来は耳の後ろに切開を入れ組織を採取し、鼓膜穿孔に挿入する鼓膜形成術が一般的でしたが、2019年に皮膚の潰瘍や褥瘡(床ずれ)の治療に使われている傷の治癒を促す薬剤を用いたリティンパという薬剤が発売され、組織を採取することなく鼓膜穿孔閉鎖術が行えるようになりました。より短時間で、患者さんの負担も少なくなり、外来、局所麻酔下で日帰り手術も可能です。(穿孔の状態や患者さんの状況によりできない場合もあります。)

手術は鼓膜麻酔液を浸した綿を鼓膜穿孔にあてる局所麻酔を約20分行った後、鼓膜穿孔の周りに傷をつけ、薬剤を浸したゼラチンスポンジを挿入し、その上から組織接着剤(生体のり)で固定して終了となります。
手術時間は麻酔の時間をのぞけば、30分程度です。

一回の治療では閉じないこともあり、治療は4回まで可能です。

最終的に鼓膜穿孔が、閉鎖する確率は約80%です。

手術は顕微鏡下に行いますが、外耳道(鼓膜までのトンネル)が湾曲し、鼓膜穿孔が確認しにくい場合には内視鏡下に行っています。局所麻酔の手術が難しい患者さんには2泊3日の入院、全身麻酔で行う場合もあります。

すべての方がリティンパの適応となるわけではなく、高度な慢性中耳炎や手術後などは適応にならない場合があります。診察、聴力検査、画像検査を行い、適応を決定します。