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睡眠時無呼吸センター

ご挨拶

 ようこそ、市立甲府病院 睡眠時無呼吸センターのページへ。
睡眠時無呼吸センタースタッフ一同、検査や治療を介して重大な合併症を予防し、皆様方の良い睡眠と健康のために貢献していきたいと思っております。

 

担当医師

  • 菱山 千祐(呼吸器内科/センター長)
  • 小澤 克良(呼吸器内科)
  • 黄 淳一(耳鼻いんこう科)

 

はじめに

 近年、睡眠障害が原因となった様々な事故について多々報道されるようになり、睡眠時無呼吸症候群のことが徐々に認知されるようになってきましたが、日本における患者数は、推定で300万人になると推測されており、まだ多くの方が診断されていないのが現状です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

症状

 睡眠中にイビキとともに呼吸が止まることを何度も繰り返すため、熟睡ができず、日中の眠気や居眠り、慢性的な疲労感、集中力の低下、起床時の頭痛などの症状を引き起こします。
 また、睡眠時無呼吸症候群は心臓・血管系の病気や多くの生活習慣病と関連することが指摘されています。特に心臓・血管系の病気では、高血圧との関連が示され、狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳卒中の発症にも関係しています。

 

原因

 原因として肥満や東洋人独特の骨格があると言われています。肥満は脂肪の沈着によって気道が狭くなり、日本人をはじめ東洋人はもともと短頭で顔が平ら、顎が小さいのが特徴で、舌が咽頭の近くにあることから気道が狭くなると考えられており、睡眠中に重力や筋肉の弛緩により舌が沈下し、空気の通り道(気道)を塞いでしまい起こります。

 

 

診療の流れ

  1. 問診
  2. スクリーニング検査
  3. 入院検査(ポリソムノグラフィー検査)
  4. 生活習慣の改善と治療

 

1.問診

問診では、自覚症状、生活習慣や合併症、運転中のニアミス経験などについてお聞きします。

 

2.スクリーニング検査

 問診の結果、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はパルスオキシメータによるスクリーニング検査が行われます。
 ご自宅で指先にセンサーをつけ、夜間の血液中の酸素の状態と脈拍数を測定します。
 これにより、無呼吸により起こる酸素の低下状態が診断されます。

 

3.入院検査(ポリソムノグラフィー検査)

 精密検査が必要と判断された場合は、夜間の睡眠の状態を評価するため、2泊3日の入院が必要になります。
 ポリソムノグラフィー検査は、脳波・筋電図・心電図・呼吸・血液中の酸素等、さまざまな生体信号を測定します。
 これにより、10秒以上の無呼吸・低呼吸の1時間当たりの数(AHI)、酸素の低下状態はもとより、睡眠の質(睡眠の深さ・ 分断の有無)、不整脈の有無、その他の睡眠障害の有無等について診断されます。

※1. センサーを装着し検査を実施致しますが、痛みを伴うことはありません。
※2. これらの検査は健康保険が適応となっています。

 

4.生活習慣の改善と治療

 最近の研究では、睡眠時無呼吸症候群がメタボリックシンドロームと密接に関係があることがわかってきました。
 生活習慣を改善することも重要で、管理栄養士による栄養食事指導を受けることも必要です。

 

治療法

生活習慣の改善

  1. 減量
    睡眠時無呼吸症候群の多くは肥満を伴っています。
    減量をすることでいびきや無呼吸が改善することがあります。
    日ごろから積極的に体を動かし、食生活に気を付けるように心がけましょう。
  2. 減酒
    アルコールは筋肉をゆるめる作用があるため、気道の閉塞を起こしやすくします。
    また、夜中に目が覚めたり、浅い睡眠を増やしてしまう作用もありますので、就寝前の飲酒は控えましょう。
  3. 禁煙
    アルコール同様、気道を弛緩させるという報告があります。
    また、喉や気道の炎症を引き起こすことがありますので、禁煙に努めましょう。
  4. 睡眠薬の服用
    睡眠薬の中には、無呼吸を悪化させるものがあります。
    初診時には現在服用中のお薬もしくは、お薬手帳を持参しましょう。

 

内科的治療(CPAP療法)

 睡眠時無呼吸症候群に対して効果が立証され、現在最も普及している治療法がCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法です。

 鼻に付けたマスクから持続的に空気を送り込み、気道を広げる方法です。
 CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中のいびきや無呼吸が減少します。
 治療を続けることによって、眠気がなくなる、日中の活動性が上がるといった、症状の改善が期待されます。

 CPAP療法は入院して行うポリソムノグラフィー検査を受けて、1時間あたりの無呼吸回数が20回以上であれば、医療保険を使って使用することができます。

 

 

歯科口腔外科的治療(口腔内装具)

マウスピースを使って下顎を前方に移動させて、気道を広げる方法です。
軽症の睡眠時無呼吸症候群の方に有効です。

 

 

耳鼻咽喉科的治療

 扁桃肥大、口蓋垂の肥大、軟口蓋が極端に狭い状態などが、無呼吸の原因と考えられる時には、手術によって改善が可能な場合もあります。
 また慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎が無呼吸の一因となり、CPAP治療、口腔内装具の治療の妨げとなるため、治療が必要になることがあります。

 

 

おわりに

 この病気の問題点は、寝ている間のことなので、自分ではなかなか気付かず、周りからいびきや無呼吸を指摘され、初めて分かることです。
 たとえ睡眠時無呼吸症候群になってしまった場合でも、正しい診断のもと適切な治療を行えば、健康な方とほぼ同じ状態を維持することができます。
 より良い睡眠と合併症予防のために、疑わしい症状のある方は、検査を受けることをお勧めします。

 

診療実績

治療器(CPAP)を使用されている方は、毎月1回外来受診が義務付けられています。
(CPAP治療は、外来診療を1ヶ月に1回受けていただければ治療費用は健康保険適用350名ほどの方が通院されています。

 

お問い合わせ先

〒400-0832
山梨県甲府市増坪町366番地
市立甲府病院 内科外来
電話:055-244-1111(代表)